なぜ愛知県図書館に石垣や刻印や土塁が?理由は名古屋城三の丸御園御門跡

名古屋市中区三の丸にある愛知県図書館は蔵書が多く、私も以前から本を借りたり資料を探したりとよく利用する図書館です。そんな愛知県図書館ですが、実はここまで名古屋城だったというのをご存知ですか?

愛知県図書館が建つ場所は名古屋城の西南、御園御門(みそのごもん)があった場所。つまりここまでかつての名古屋城でした。

■愛知県図書館の住所

名古屋市中区三の丸1丁目

>>愛知県図書館の場所の地図

まずは門

愛知県図書館はかつての名古屋城の御園御門(みそのごもん)。南には入城するための橋がありました。それが御園橋です。現在ではコンクリートの橋ですが、江戸時代にあった御園橋を再現しています。

堀と土塁に萌える

御園橋から左右を見てみると谷になっています。じつはこれ、名古屋城の堀跡なのです。その向こうに石垣があって、その場所が愛知県図書館が建っています。

昭和の頃、この堀跡には電車が走っていました。明治時代に瀬戸電気鉄道が瀬戸と堀川をつなぐ路線を開通し、その後、名古屋鉄道瀬戸線になります。それから道路整備が進み廃線になりました。

城の堀跡を線路にした例は、近県ですと長野県上田市の上田城です。戦国時代に徳川軍を2度迎え撃った真田昌幸の居城です。上田城もかつて堀に電車が走っており、その後、廃線になりました。

道路の反対側もチェック!

愛知県図書館の東側、国道22号線側を見ると歩道から土塁を見ることができます。現在の石垣が築いてあって、土塁というのは分かりにくいのですが、少しズレて見てみると土塁というのが分かります。

愛知県図書館の横、国道22号線向かいも見てみると、土塁と堀が残っているのが分かります。現在の愛知県図書館に名古屋城に入るための御園門があったので、すぐ近くのこの場所は国道を通すために土塁を切ったということです。

石垣と刻印石

愛知県図書館には名古屋城の石垣が残っています。この石垣を注意深く見てみると刻印石を見ることができます。

刻印石(こくいんいし)とは、分かりやすくいうと、石を切り出した大名家のマークのこと。なぜこの様な刻印のマークを付けたのか?理由は名古屋城の築城時にあります。

名古屋城は20の大名家が築城に携わりました。それぞれ担当区域も決まっていて、石垣の石は自分たちで調達する必要があったのです。現在の東別院がある場所に一度石は集められ、そこから名古屋城に運び込まれるのですが、自分たちの切り出した石を間違えて持っていかれないためにマークを付けました。

大名家のマークというよりは、大名家の奉行(責任者である現場監督)のマークです。ひとつの大名家にも数種類の刻印石があります。

所要時間と私の感想

名古屋城三の丸跡に建つ愛知県図書館の石垣、堀、土塁などは以前、私が所属している愛知県の城巡りのコミュニティで来たこともあります。その時の感想ですが、愛知県図書館は本を借りに来る場所なので、石垣や堀、土塁など気が付かなかったという意見が多かったです。

所要時間は人それぞれなのですが私たちが行った時で、ジックリ見て20分ほど。まあ、城好きの皆さんが集まっているので、いろんなトークを交えながらでしたから、これくらいの時間になりましたが。

ともあれ愛知県図書館に行った時は、この名古屋城三の丸の御園門跡に残る石垣や刻印石、堀と土塁もチェックしてみてください。

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